元旭川山岳会会員だった勤務先のTさんから詳しく情報を得たのが結果的に良かったのでした。最後に、ストックを二本必ず持参するようアドバイスしてくれたことがこの湿原探索の最後に助かったのでした。ご想像の通りだったのです。
■雨竜市街からおよそ45分で登山口(ゲートパーク)につきました。ゲートまでは市街から約25キロありました。半分程に暑寒ダムがありダムサイトを通って行きます。その後、山道は舗装と未舗装が交互に登山口まで続きます。高度が進むにつれ道幅は狭くなります。旨門はこういうところでは真昼でも必ずライトを点けて運転します。こちらの存在に気がついてほしいからです。(もっとも、通常でも「デイライト運動」を結構実践しているんですよ)。
林を通る山道は野鳥が飛び交い、賑やかな囀りが車の中まで届いてきます。シマリスもゲートパーク下の狭い舗装道路で見かけました。この山道の世界だけでも十分楽しめます。
ゲートパークに着きトイレで用を足していると、懐かしいコマドリの囀りが微かに聞こえました。早速小夏さんに伝えたのですが、トイレで耳にして以来さっぱり聞こえてきません。な〜んかうそを言った気分になりましたが、自信もなかったのも事実です。
管理人小屋で入山届けと協力金一人500円を支払います。管理人さんは小さな子供を持つ夫婦でした。三十半ば頃のご主人は山が好きそうな人です。ふと、小屋の外に立てかけてあったストックを見て、「あっ、忘れてきた」。車まで取りにもどりました。
「行ってきまーす」「いってらっしゃーい」。登山口を08:30出発しました。
渓谷第一吊橋を渡ったところ『登山口から雨竜沼湿原までは徒歩で約2時間(4.1km)』と雨竜町のHPで案内されています。また、清流『ペンケペタン川沿いの登山道を登ると約1.5km地点に「白竜の滝」が綾をなしており、その先2.6kmほど登ると雨竜沼湿原が広がる』。この説明を読んだ時、文章にある「綾(あや)」という言葉に旨門はいたく感動しました。今の方はご使用になるかどうかわかりませんが、「なんか、あやつけちゃって!」「なにっ、あやつけてんのよっ!」などと、「恰好」つける様などを揶揄する時に使いました。こちらの場合は美しく彩ることを勿論表現しているのですが、今では殆ど使わないけど好きな言葉です。

出発して間もなく道沿いに咲くタニウツギに見惚れていると、向こうの山間でコマドリの囀りが響いています。第一吊橋を渡ったペンケペタン川沿いの山道は、ウグイスとコマドリの囀りのトンネルでした。エゾムシクイ、キビタキ、カラ類の囀りも賑やかでした。この野鳥たちの合唱は湿原手前まで続いていました。
渓谷に響き渡る日本鳴鳥の囀り。ここに佇んでいるだけでも大感激でした。
"綾"をなす「白竜の滝」で一休みです。木の腰掛にすわり、お茶を飲み、息を整え、一服しました。
関西方面から来たと思われるオリジナルツアーの65歳前後の男性4名と女性2名の方々は一足早く進んでいるようです。皆さんとてもお元気で楽しそうです。見習わなければならないです。
第二吊橋まではまずまずゆるやかな登り道を進みました。メタボな自分もまずまずのペースで歩けました。吊橋を渡った向こうの大木で、コマドリが清らかに囀っています。姿が見えそうで見えません。双眼鏡で探しでも駄目でした。木々の葉が多い繁る万緑の季節に野鳥を探すのは、野鳥観察補の自分には至難の業です。残念!
吊橋を過ぎた途端、急な登りになりました。何度も休み休み進みます。小夏さんは元気にどんどん進み、見えなくなりました。
はーはー・・・して立ち止まっている時、70歳過ぎと思われる年配の方は挨拶を交わして先に登っていきました。その方に付いて行ったのですが、段々また離れてしまいました。
少し平らになったところで小夏さんは待っていてくれました。が、またそのうちに離れてしまいました。その繰り返しがこの後も続くのでした。
小夏さんは清流の川原で遊んでいました。先ほどの方もここで一息入れています。一息の向こうに湿原の端っこと思われる平原が見え、目指す「雨竜沼湿原」がもう目の前なのがわかります。しかしそう簡単にはいきません。ヘ張り気味な自分には最後の胸突き八丁が待ち構えていました。またそれは天上の湿原へのタクシーウェイでもあったのでした。

靴底洗い場。湿原に入る前にここで靴を洗い、外来種の進入を防ぐのです。なるほど!
■→10:30湿原入り口(湿原案内版が設置してあるところで、この先に展望テラスがある)着。先ほどの洗い場からすぐのところにあります。登山口から丁度2時間経ってました。
湿原に日本海からの雲のカーテンが降りています。また、時折雲の合間から南暑寒岳が見えますが、暑寒岳は頂上付近にずっと雲がかかり、結局この日一日雄姿全景を見ることが叶いませんでした。
■10:40入り口を出発→展望テラスを経由していよいよ湿原散策が始まりました。天上の湿原は見渡す限り平らです。池塘(ちとう)という小さな池が潤いを感じさせてくれました。
池のそばに木の切り株が見えました。この湿原にこのような太い樹が立っていたのですね。もしかしたら、まだまだ立っていたのかもしれません。切ってしまって、平原にしたのかもしれないとナチュラリストは少し疑っています。
一本道だった木道はここから二手に分かれます。周回路になっているんですが、向こう西の山側でまた一本になります。
花を見つけ、立ち止まり、眺めてを繰り返し、展望台までの一時間半はとても短い時間でした。涼風に吹かれながら歩く木道は快適です。これから半月もするとオレンジ色のエゾカンゾウと青紫色のヒオウギアヤメが湿原一面に広がるのでしょう。
今は賑やかになる前の静かな草原という感じです。

エゾイチゲ、シナノキンバイ、ヒメシャクナゲ
ミツバオウレン、ツマトリソウ、チングルマ

ショウジョウバカマ、シラネアオイ、コバイケイソウ
ワタスゲ、エゾカンゾウ、オオバミ
湿原の西端から、歩いてきた木道(右側)、そして後に通る木道を眺めます。湿原の西端から急勾配の階段道を上がり、急坂が終わるところにある展望台広場にまたはーはー言いながらやっと到着しました。小夏さんはとっくに着いて出迎えてくれました。
■→展望台12:05着。出発してから約3時間半でした。
既に、関西チームは眼下の湿原を眺め、少し大きな声を出してはしゃいでいます。単独行の年配の方も携帯ガスコンロでお茶を沸かし悠々と眺めを楽しんでいました。また挨拶すると「向こうに座れる場所があるよ」とおしえてくれました。
今思うと、この方は、歩いてきたこれまでのご自分の人生をこの木道に見、ふと感慨を抱いていたのではないでしょうか。悠々として羨ましい存在感がありました。こうありたいものです。

ほかの皆さんに軽く挨拶しながら奥の大木横半分ベンチに腰掛け、お昼にしました。いつもの通り、おにぎりに玉子焼き、ウィンナーそして紫蘇の佃煮、これさえあれば向かうとこ敵なしの弁当です。
ブヨはさほどうるさくありませんでした。周りは立派で太い根曲がり竹の林でタケノコがにょっこり顔を出しています。山菜採取家は一向に興味を示さないので聞くと、駄目な場所で興味を示しても無駄だから、でした。
簡単な運動靴と恰好で上がって来た人を数人見かけました。相当のベテランなのか体力満々の全くの素人なのかわかりませんが、僕は自然を侮っていませんかとだけ申しあげたい。
僕たちがお昼をいただいている間、皆さんは三々五々次の行動を開始していきました。南暑寒岳へ登る人、湿原へまた戻る人。関西チームは湿原に戻っていきました。気が付けば、先ほどのご年配の方は既にいませんでした。
■12:40展望台を出発→木道の復路を快適に進みます。が、止まり止り花などの写真を撮っている自分はまた置いてけぼりです。
オオジシギ、ヒバリ、ウグイスの声は聞こえ見かけるのですが、ノゴマはすぐ笹薮に入り見えません。
展望テラスに着き、雲間を狙って暑寒岳の姿を撮ろうとしていたら雨がぱらぱら、すぐ止んだのですが下山することにしました。下りが一番怪我をしやすいのでストックを付きながら慎重に降りている最中、左足膝が急に痛くなりました。踏み留めると結構な痛みがありました。左足をかばうために右足を無理したものだから、右足も痛くなり始めました。カニ歩きで下山をしました。
Tさんのアドバイスで持参してきたストックがここから大活躍し、これがなかったら相当大変だったであろうと今にしても思います。大助かりでした。
■→ゲート着15:55 展望台から登山口まで下りなのにこういうわけで3時間15分もかかりました。登りと変わりませんでした。
今季初一挙に長距離を歩いたものですから、両足は関節痛と筋肉痛でこれまでにない"重い症状"だったのですが、痛みはその後三日で消え、今は通常生活に戻っています。
憧れの雨竜沼湿原に遊び楽しんだことは生涯忘れることはないと思います。
支えてくれた登山靴テーマ:旭川/道北地域のネタ - ジャンル:地域情報


